トルコ行進曲対決
大阪中之島の中央公会堂にてベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」と交響曲「運命」のコンサートがあり行ってきました。
(演奏:テレマン室内オーケストラ 指揮:延原武春 フォルテピアノ:高田泰治)
1810年頃制作の本物のフォルテピアノの音色、現代のグランドピアノに慣れた現代人にはあまりにも可憐な音色だが貴重
な演奏を聴かせてもらった。中央公会堂のやや薄暗いネオルネッサンス様式の集会室の雰囲気と曲想が見事に溶け合い
ウィーンのサロンで聴いているかのような錯覚に陥る…至福の時間!!アンコールには、トルコ行進曲。1683年の第二次
ウィーン包囲は、敵方オスマントルコに対して決定的な印象を形作ったという。
そのうちのひとつが、メフテルと呼ばれた軍楽隊で、「ズンチャ ズンチャ ズンズンズンチャ」という独特のリズムは長く
ヨーロッパの音楽にも影響を与え続ける。 ちょうど100年後の1783年、ウィーンのモーツァルトはピアノソナタの第三楽章に
このトルコの「ズンチャ」を採用するようインスピレーションを受ける。その十数年後、ベートーヴェンは作曲中の「アテネの廃墟」
で、「ズンチャ」を使用する。かくして私たちは、2大巨匠によるズンチャ…トルコ行進曲を聴き比べることができる。
軍楽隊の写実性からいえばベートーヴェンに軍配が上がる。目の前に大太鼓やシンバルを打ち鳴らしつつ進む勇壮なるトルコ
軍楽隊のパレードが目に見えるようだ。しかし、やはり音楽自体の人気では圧倒的にモーツァルトのトルコ行進曲だろう。
失礼だが、どこをどう見ても男臭いもったりとしたリズムの行進曲を、モチーフはしっかり保ちつつ(左手の伴奏)、あのように
華麗で軽快なフィナーレに変身させたのだから、これは天才の業としか言いようがないではないか。
(原曲ではアレグレット、現代ではアレグロで演奏する)
比較される楽聖ベートーヴェン様には甚だ公平さを欠くことになり汗顔の至りだが、やはりあの曲はアマデウス・モーツァルト
以外誰にも創造できないような気がする(演奏家でも評論家でもない私が言うのも何だが💦)。
というわけで…りっとう無花果コンサートでも、神永強正さんの演奏で、モーツァルトのトルコ行進曲を聴くことができます。
コンサートにお越しになる前に、ベートーヴェンのズンチャ、ズンチャもお聴きになることをお薦めします。たぶん私の言わん
としていることがお分かり頂けると思います。